「標準字形」からどこまでが許容されるかを考える際の根拠
常用漢字表:文部科学省 (付) 字体についての解説より
第2 明朝体活字と筆写の楷書との関係について
常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。このことは,これによつて筆写の楷書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであつても,明朝体活字(写真植字を含む。)の形と筆写の楷書の形との間には,いろいろな点で違いがある。それらは,印刷上と手書き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。以下,分類して例を示す。
1(略)
2 筆写の楷書では,いろいろな書き方があるもの
(1) 長短に関する例
雨
無
戸
(2) 方向に関する例
風
比
仰
主
言
年
糸
ネ
(3) つけるか,はなすかに関する例
又
文
月
条
保
(4) はらうか,とめるかに関する例
奥
公
角
骨
(5) はねるか,とめるかに関する例
切
改
酒
陸
木
牛
糸
環
(6) その他
令
外
女
筆写の際のいわゆる「許容される書き方」とか「許容の形」や「許容される字形」と呼ばれる事柄。「標準字形」からどこまでが許容されるかを考える際の根拠となる。
漢字指導における「許容される書き方」の考え方
「許容」はあくまで「許容」である。指導に当たっては「このように書いてもよい」であり、「このように書かなくてはならない」と言うものではないことをしっかりと認識する。国語科における漢字の指導は、「指導は標準の書き方によって行い、評価は、許容を心得て教育的に行う。」ようにする。