なりたち
形声 音符は酉(ゆう)。酉は酋(しゅう・古い酒)と、もと同じ字であった。鬼も蒐(しゅう・狩り)のように用いることがあるが、醜の字形が、本来この鬼の字形に従うものであったかどうか疑問である。殷(いん)代の図章(紋章のようなもの)に亜醜形図象とよばれるものがあり、そこには、酒を酌(く)む人がかかれている。その人の姿は三すじに束ねた頭髪を大きく強調している姿があり、酒樽から酌んでいる酒は祭祀に用いる香りのついた酒であろう。酒を酌んで儀礼を行って姿であり、普通のときの姿とは、はなはだ異なるものであるから醜(みにく)しとされたのであろう。この旁(つくり)を人の形に作る字は、甲骨文に邑(ゆう・集落)に祟(たたり)があると考えられるとき「醜することあるか」と祟を祓うために醜の儀礼を行うかどうかを占うときに使われているから、すでに文字として成立しているものであることが知られる。醜の儀礼を行う人の姿から、「みにくい」の意味となり、さらに、「わるい・はじる」の意味となった。