なりたち
会意 もとの字は黍(しょ)と曰(えつ)とを組み合わせた形。黍はきび、曰は
さい(神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の形)の中に祝詞が入っている形。黍をすすめ、祝詞を奏して神に祈るの意味であろう。古い書物の「書経」に黍稷(しょしょく・もちきび・うるちきび)などの芳(かんば)しい香りは神の心を動かすとある。それで神を祭るときには、鬯酒(ちょうしゅ・香りをつけた酒)を供えたり、犬を焼いてそのにおいを天に昇らせたりした。香は黍の芳しいかおりをすすめて神に祈る字で、「かおり・か・かおる・におい・よいにおい・かんばしい」の意味となる。香りを嗜(たしな)むことは高雅な嗜みとされたので高雅なものにたとえて香魂(美人の霊魂)・香夢(美しい花などの夢)のようにいう。