なりたち
会意 金文の字形は、衣と隹(すい)と田とを組み合わせた形。衣の中に隹(とり・鳥)を入れ、鳥の脚に田形の器(鳥の脚を止(とど)めておく道具)をはめ、鳥を衣の中に捕らえておく形が奮で、鳥が逃げ出そうとして「はばたく、ふるう、はげむ」の意味となる。奮と似た字が奪で、衣の中の隹(とり)が逃げ出そうとするのを手で捕らえようとしている形である。衣はおそらく死者の衣。隹は死者の霊を象徴する鳥形霊で、その鳥を衣の中に留めることによって、死者の霊はそこに留まるものと考えられたのであろう。このような古い風俗は文献の上では証明することができないが、奮や奪の古い字形が衣の中に隹(鳥)を置く形であることからいえば、以上のように解釈する以外に解釈のしようがなく、漢字の古い字形によって中国の古俗を復原することができる例である。