なりたち
形声 音は肙(えん)。肙(えん)に涓(けん・しずく)・埍(けん・土なべ)の音がある。「説文」に「繒(きぬ)の麥䅌(ばくけん)の色の如(ごと)きものなり」とあって、麦わらの浅黄(あさぎ)色で光沢のあるのと似ている絹であるというから、これは黄色の絹をいう字である。「きぬ」の意味に用いる。肙(えん)は蚕(かいこ)のような虫が口を開けている形で、おそらく蚕がその糸を吐く形を写したものであろう。甲骨文字に桑の葉の上に蚕の形を加えている字があり、三千数百年前の殷(いん)の時代に養蚕(ようさん)が行われ、絹が作られていたことが知られている。絹は東アジアの特産物であった。