なりたち
会意 皀(きゅう)と卯(ぼう)とを組み合わせた形。卯は人が向かい合って坐(すわ)っている形。皀は𣪘(き)で、先祖の祭りなどのときに食事を盛って供える器。祭りの後の饗宴(きょうえん・宴会)のときに𣪘をはさんで二人が坐っている形が郷で、郷(むか)うの意味となり、饗宴の意味となる。またそのように饗宴に招かれる身分の者を卿(けい・大臣など)という。卿の所有する領地を郷といい、のちその領地である意味を含めて皀の左右にそれぞれ邑(ゆう・さと、むら)を加えた郷の字が作られた。郷の偏と旁(つくり)はもとは邑の字であり、郷と卿とは古くは同じ形の字であった。郷は「さと、むら、いなか、ふるさと」の意味に使われる。