なりたち
形声 もとの字は下図のけん。音符は兼(けん)。兼は二本の禾(稲)を併せて手に持つ形で、本来は嫌(いや)な行為であったのではないかと思われる。それでなるべく避けるの意味から謙は「ゆずる、ひかえる、さける、つつしむ」の意味になったのであろう。謙がそのような意味に使われるのは、「易経」の「謙卦」からで、「天道は盈(えい・満ちること)を虧(か)きて(抑圧して減らす)謙(ひかえめにすること)をます」とあり、おごり高ぶる者よりも、謙遜(ひかえめにすること)の者のほうがよいという老荘的な考え方がみえる。