なりたち
会意 莧(かん)と夕とを組み合わせた形。莧は眉(まゆ)を太く大きく描いた巫女(ふじょ・神に仕える女)が座っている形。祖先を祭る廟(みたまや)の中で、その巫女がお祈りしている形が寛である。夢は睡眠中に深層心理的な作用としてあらわれるものとされているが、古くは呪術を行う巫女が操作する霊の作用によって夜(夕)の睡眠中にあらわれるものとされた。それで夢は「ゆめ、ゆめみる」の意味となる。「周礼」には占夢の職があり、夢の判断をした。また年末には、一年間の夢を調べ、堂贈(どうぞう)という鬼やらいの儀礼を行い、夢送りの行事をしてその年の悪夢を祓(はら)った。高貴の人が死ぬことを薨(こう・しぬ)というが、薨とは夢魔(むま)によって死ぬことで、高貴の人には夢魔の危険が多かったのであろう。