なりたち
会意 㫃(えん)と矢とを組み合わせた形。㫃は吹き流しをつけた旗竿(はたざお)の形で、氏族旗をいう。氏族旗は氏族軍の象徴として必ず携行し、氏族として行動するときもこの氏族旗を立てて行動した。矢は神聖なものとされ、神に誓うときには矢を折るようなしぐさをして誓ったらしく、矢(ちか)うとよむ。甲骨文字には
さい(神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の形)をそえた字形があり、儀礼に関する字であることを示す。族は氏族旗のもとで誓約する(誓って約束する)儀礼を示しその氏族の誓約に参加する「やから(一族。同族)」の意味となる。氏は把手(とって)のある小さなナイフの形で、祖先の祭りの後で行われる氏族の共餐(きょうさん・集まって食事すること)のとき、このナイフで祭りに供えられた肉を切り分けた。それでこの氏族共餐の儀礼に参加する者を氏(うじ。氏族)といった。族は氏族員が集まって行う儀礼であるから、「あつまる」の意味ともなる。蔟(そう)・簇(そう)に「あつまる」の意味がある。