なりたち
形声 音符は寺(じ)。古い字形に言に之のものがあり、音は之(し)。「詩経、大序」に「詩は志の之(ゆ)く所なり。心に在るを志と為(な)し、言に發(はっ)するを詩と為す」また、「詩経、大雅」に「吉甫(きつほ・人の名前)誦(しょう)を作る、其(そ)の詩、孔(はなは)だ碩(おほ)なり(はなはだ、おおらか)其の風、肆(なが)く好(よ)し(そのしらべ、のびやか)」とあって、心にあることを言葉に出すのが詩で、その詩は多くの場合、神の前で声を上げて歌いあげる儀式で「うた」であった。詩の章句を声に出すことによって言霊(ことだま・ことばにやどると信じられた霊の力)がはたらき、吉祥(きっしょう・めでたいこと)を得たり、呪(のろ)いを加えたりするものと考えられた。のち、文学の形式として人の心情などをうたう。わが国の「うた」も、最初は神に対して訴えるところからうたという語ができた。詩歌(しいか)の類は、すべて最初はことばのもつ力を信じる呪歌(じゅか)からはじまり、のちにその文学性が重視されて作品になってゆく。