なりたち
形声 音符は鬲(レキ)。鬲に翮(カク・はね)の音がある。鬲は、壺型(つぼがた)の土器で先が尖(とが)っているものや、三本の脚があるものがあった。地面に立てることができる。このような中が空虚な器は霊を宿すものであると考えられ、神聖な地域の周辺に並べて埋めこみ、境界とすることがあった。わが国の古代の天皇などの墓である陵墓の周辺に、埴輪(はにわ)を埋めるのと同じような考え方である。それぞれの聖域に出入りするときには、鬲で酒を注ぎ、あるいは飲む儀礼が行われていたようである。その儀式をカン(下図)といい、周代初期の青銅器の銘文に、宮廟(キュウビョウ)でカンの儀式をすることを記すものがある。隔は神が天に渉(のぼ)り降りするときに使う神の梯(はしご)(𨸏(フ)。阝でもとの形は
)の前に鬲を置く形で、これによって聖と俗とを隔てることになる。隔はもと聖と俗とを隔て区別するの意味であったが、のちすべての両者を「へだてる、仕切る」の意味に用いる。
カン