なりたち
会意 𨸏(ふ)と粦(りん)を組み合わせた形。粦は、金文の字形によると、大と舛(せん)とを組み合わせた形で、大(手足を広げて立つ人を正面から見た形)の下に舛(左右の足が外に向かって開く形)を加えて、聖所に犠牲(いけにえ)としてはりつけにされている人の形であり、大の上下に小点をそえるのは、鮮血を示している。粦は人を犠牲として用いて、鬼火(おにび)を発することをいう。𨸏(阝)はもとの形は
で、神が天に陟(のぼ)り降りするときに使う神の梯(はしご)の形。隣はその神梯(しんてい)の前に人の犠牲を置いて祭り、そこから鬼火が発することを示す字で、それは異族との境界の呪禁(じゅきん・悪邪を祓(はら)う呪(まじな)い)であった。隣とは呪禁を設けた神聖な場所をいうが、のち「となり・となる(ならぶ)」の意味に用いる。中国の文献では鄰(りん)を正字として使うが、隣が正しい字形で、鄰はのちに作られた字である。粦に火を加えた燐(りん)はおにびの意味にも用いる