なりたち
会意 もとの字は麥に作り、來(来)と夊(すい)とを組み合わせた形。來は麦の形。夊は止(趾(あしあと)の形)を逆(さか)さまにした形であり、麥は麦ふみをするの意味であろう。「むぎ」の意味に用いる。「説文」に「芒(ぼう・麦などの実の殻にある堅い毛。のぎ)のある穀なり、秋に穜(う・植)えて厚く薶(つちかけ)す」とあり、夊は蒔(ま)いた種に足で土をかけて踏むことをいうのであろう。秋に種を蒔いた麦が熟する初夏の頃を麦秋というのは、麦の秋(収穫時期)の意味である。周王朝には、周の祖先神の后稷(こうしょく)が嘉禾(かか・よい穀物)を得て国を興したとする伝承があり、嘉禾とは、大麦・小麦である。大麦・小麦は西方から伝来したものと思われる。麦酒(ビール)は大麦の麦芽を発酵(はっこう)させて作る。