なりたち
形声 音符は氏(し)。「かみ」をいう。「説文」に「絮(じょ・わた)一苫(いっせん)なり」とあり、古くは古わたなどを、𥮒(せん・すのこ)ですいて板に張り、紙を作った。それで紙は糸へんとなっているが、古くは帋と書かれ布の字を要素とする字であった。紙は二世紀の初めの後漢(ごかん)時代に蔡倫(さいりん)が発明したといわれるが、蔡倫は樹膚(ジュフ・木の皮)・麻頭(まとう・麻くず)・敝布(へいふ・ぼろ布)・魚網の類を用いて紙を作った。紙の名は蔡倫以前にすでにあったが、蔡倫はその製法を大きく改善させた蔡倫紙を作り、その紙は蔡候紙とよばれて珍重された。唐軍とイスラム軍が戦った七五一年のタラスの戦いで捕虜となった中国人がアラビア人に紙すきの方法を教え、紙すきの技術はアラビア人の手を経てやがてヨーロッパにも伝えられた。