なりたち
象形 舞楽用の冠(かんむり)をつけ、両袖(りょうそで)を振り、足を前に上げて舞う人の形。古い楽曲の名には、九夏・三夏のようにいうものが多い。夏に大きいという意味があるのは、その舞楽する人たちの顔が大きく、体が大柄(おおがら)であったからであろう。夏を中夏のように中国の意味に使うことがあるが、中国の歴史にみえる夏・西夏という国は、だいたい西方の地にあった国か西方から興(おこ)った国であるから、夏は主として西部の民族をいう語であったと思われる。夏を季節の名の「なつ」の意味に使うことは、春秋期(しゅんじゅうき・紀元前八世紀~前五世紀)の金文に至って初めてみえるものであるから古い用法ではない。夏の異字体である頙(か)の省略形の疋(が)はのち「詩経」の大雅(たいが)・小雅の雅の代わりに使われることがある。「詩経」の大雅(たいが)・小雅の詩篇には、舞楽のときに歌われた詩があったと考えられる。