なりたち
会意 口と隹(すい)とを組み合わせた形。隹(とり)の前に(
さい(神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の形)をおく形。古い字形では隹だけを使うこともある。隹は小さな鳥の象形。鳥は神の使者と考えられて、しばしば鳥占いに使われた。唯は、「しかり」、鳥占いによって神意を問うのに対して神がよろしいと聞き入れるの意味である。それで、「畏(かしこ)まりました(つつしんで承知しました。)」というとき、「唯。唯唯」という。鳥占いによって軍の進退を占い、神の同意を得て前進することを進という。戸(神棚の片開きの扉の形)の前で神意を問うことを雇(やと)うという。雇うとは神意を借りることである。その神意をうやうやしく拝することを、顧(かえり)みるという。頁(けつ)は神霊に対するとき、頭に礼帽をつけて礼服を着た姿である。雖(すい・いえども)は唯の口(
さい)の下に虫がついている形。虫は悪い霊である。唯は神が「よし」と聞き入れ承認することをいう字であるが、それに悪い霊がついているときには、無条件で「よし」とすることはできない。それで「雖(いえど)も」とは、「一応はよいとしても、しかし」という条件がつくことをいう。「これ」という話や文の初めに用いる発語には、惟(い)・維(い)を用いるときがある。