なりたち
仮借 もと形声の字で、音は皮(ひ)。彳(てき・行くの意味)に従い、外に行動するという意味の字であるが、代名詞、「かれ・かの・かしこ・かなた」の意味に用いる。代名詞はもとその字がなく、他の字の音を音を借りて用いる仮借(かしゃ)の用法である。金文では、「皮(か)の吉人(きつじん)」のように、皮の字を用いるが、皮革の皮の字と区別するために彳(てき)を加えて彼としたものであろう。彼此(かし・かれとこれ)の此は、小さいものという意味の字であるが、代名詞「これ、この、ここ」に用いるのは、音を借りて用いる仮借(かしゃ)の用法である。