なりたち
象形 犬の形。「いぬ」をいう。猟犬として使われていたらしい逞(たくま)しい犬の形にかかれている。殷(いん)・周代の古い王墓には、王の墓を衛(まも)る武人とともに棺の下や墓室の壁よりの所に犠牲(いけにえ)として埋められていることがあり、これを伏(人と犬とを組み合わせた形)・伏瘞(えい)(人と犬とを埋めて地中にひそむ悪霊を祓(はら)うこと)という。戦国時代(紀元前四世紀~前三世紀)の王墓には、愛犬であったらしい犬が金銀の飾りをつけて埋葬されている。犬は犠牲としては特に貴いものとされ、天にいる上帝を祀(まつ)ることを類(類。のちには禷に作る)といい、穀物を供え、いけにえの犬を焼いてその臭いを天に昇らせて祀っている。建物が完成したり器物が制作されたときには、犬牲(いけにえの犬)で清めることが行われている。建物が完成したり器物が製作されたときには、犬性(いけにえの犬)で清めることが行われている。京(けい・アーチ形の出入り口のある城門の形)の落成式に犬性を用いることを就(なる、成就(じょうじゅ)する)、犬性で清められたうつわを器といい、犬性で清められた鬲(れき・鼎(かなえ))形の器を献(たてまつる)、神に供える酋(しゅう・ふるざけ)にいけにえの犬をそえて、神を祀(まつ)り神意を謀(はか)ることを猷(ゆう・はかりごと)という。