なりたち
会意 人と衣を組み合わせた形。人に衣を添えた形。衣には人の霊が憑(よ)りつく(乗り移る)と考えられたので、霊を授かるとき、霊を引き継ぐときに、霊が乗り移っている衣を人により添えて、霊を移す儀式をした。それで「より、よりそう」の意味となる。わが国の神話に見える「真床襲衾(まとこおふふすま)」といわれるもの、天皇即位後に行われる大嘗会(だいじょうえ)のときに天皇が身につける「天の羽衣」が、霊が憑(よ)りつく衣である。中国の古い字の例では、安・保には女の子の裾に小さな曲線が加えられているが、その曲線が霊が憑(よ)りつく衣を示している。衣の甲骨文字の字形は衣の中に人がかかれており、古い時代には霊を移す儀礼のときに衣の中に人が籠(こも)ったのであろう。